ARTIST STORY

「私は昔、絵が上手な姉に
あこがれていました」と、本人は語る。

少しでも近づきたくて、うまく描くことばかりを
考えていたそうだ。

 

けれど、ある日気づいた。

大切なのは誰かのように描くことではなく、

自分が好きなものや心を動かされたものを
素直に表現することだと。

「私にとって絵とは、自然や動物のような存在です。

風に揺れ、季節とともに姿を変える自然。

決められた形に縛られず、自由気ままに生きる動物。

そして、どちらも立ち止まることなく前へ進み続けている。」

「私もそんな自然や動物のように、

自分らしさを大切にしながら、

自由な発想で描き続けたい。

見る人それぞれが自由に受け取り、

何かを感じてもらえたらうれしいです。

   
  
  

 

「もともとは、外で走り回るのが

大好きな田舎の少女でした」

と彼女は振り返る。

 

「けれど、環境に馴染めず家に

こもるようになる時期があって。

TikTokで好きな絵を見つけて、

自分の世界を描くようになりました。」

「私自身、すごく矛盾しているんです。

今日好きなものが、別の日には

嫌いになったりする。

でも、世界も同じだと思うんです。

すごく綺麗なのに、時にひどく

汚かったりするから。」
 

決めつけられない感情や世界の姿を、

そのまま留めておきたい。

静けさの中に無数の表情を宿す

「青」は、そんな矛盾する心を

そのまま包み込んでくれる色だった。

イヤホンから流れる音楽で

周りのノイズを遮断し、

一人きりの空間で筆を動かす。

「描くために外へ逃げるんじゃなくて、

自分の部屋で、自分の世界に

入り込んで描きたい。」
 

心が揺れたその一瞬の集大成。

矛盾を抱えたままキャンバスに

留められたその世界が、

見る人の心に静かに届くことを願って。